ちなみに、なぜアラフォーのおっさんが海外の女性サイクリスト向けサイトをチェックしているのかという野暮な詮索はなしの方向でお願いします(笑)。
さてさて、そんなわけで、ヒルクライムと呼吸というテーマに興味を持たれた方は是非チェックしてみてください。
目次
クライミングと呼吸の関係は?
これまでケイデンスやメンタルコーチングと一緒に、呼吸について言及しているクライミングの記事を目にしてきましたが、あまり参考になるとは思えませんでした。私の頭の中にあるクライミングの方程式はいつもシンプルで「軽い体重=クライミングに有利」というものです。でも体重については意識はしていましたが、食べるものの内容に気をつけるだけで徹底した食事管理まではしようとは思わなかったんです。だから最近になって体重以外の別の方法を試してみようと決めたんです。
冬の火曜日の夜のヨガクラスの後に、ヨガの先生が呼吸のエクササイズがいかに自転車にも役立つか繰り返し話してくれたので、自分の先入観はとりあえず脇に置いて、呼吸とやらにもチャンスを与えてみることにしました。
そしてあるとき、Combe Laneの丘の登りで息も絶え絶えに短く浅く呼吸しているのに気付いたとき、呼吸を長くてゆっくり深いものに代えてみたわけです。そしたら違いは覿面(てきめん)でした。
もっとゆっくり呼吸すると、ずっと落ち着いた気分になって、(身体的にか心理的にかはともかく)登るのがずっと楽に感じられたんです。で、自分のだいぶ先にいた男の人に瞬く間に追いついちゃったんですよ。個人的な逸話じゃたいした証拠にもならないかもしれませんが、とにかく一体何がどうなったのか、スポーツ心理学の専門家のJosephine Perryに聞いてみることにしました。
専門家に聞いてみた
「呼吸は全てのスポーツの活動時において非常に重要です。身体の全ての動きが脳へフィードバックされ、私たちがどのように感じるか脳がシグナルを与えるのです。もし短くて浅い呼吸をすれば、それは脳に私たちがパニックあるいは苦境に陥っていると知らせことになるのです」とJosephine Perryは話す。
Perryによれば、激しい身体活動はより多くの酸素を筋肉に送るように要求するが、ヒルクライムのときに私たちがやってしまいがちな短くて浅い呼吸は、いつもすべて身体的な必要性から引き起こされているわけではなくて、その命令はしばしば私たちの脳から送られてくるそうだ。
「とくにサイクリング初心者の場合、登りというのはとても手強く気力をくじくものに思えるかもしれません。そうすると脳は、『とても登れそうにない』『速度も遅くなるだろう』『途中で登れなくなるかもしれない』とあなたに語りかけてきて、あなたに短く浅い呼吸をさせるのです。空気を求めて喘げば良いパフォーマンスができるはずもありません」
「速い呼吸は私たちを警戒させ、心拍を速めます。それに対して私たちの脳は身体をスローダウンさせるような反応をとるのです。それは望ましいことではありません。ですから、登りが近づいてきたら、身体にそうした反応を取らないように言い聞かせることが大変有益なのです」
知識を得たのはいいけど、じゃあ実際にはどうしたらいいのだろう?Perryの提案を聞いてみよう。
「こうした状況を乗り越えるために、3つの方法を伝授しましょう。まず、呼吸に集中すること、次に深く呼吸することを学ぶこと、そして自分自身に登りが好きなんだということを信じ込ませることです」
クライミングのための3つのコツ
呼吸に集中する
「もし、登りをアタックすることに極度に集中してしまうと、瞬く間にあなたの呼吸は速くなって乱れ、心拍数も上がってしまいます。そして脳はあなたが今非常に厳しい局面にあることを告げるでしょう。その代わりに呼吸に集中すれば、自分のペースでより一貫して進むことができ、苦しいという感じもブロックすることができるはずです」
深く呼吸することを学ぶ
「私たちは毎日無意識に呼吸していますが、ほとんどの人は深く呼吸することを学んだことがなく、呼吸を使って身体をコントロールする方法もわからないのです。呼吸があなたをコントロールするのではなく、あなたが呼吸をコントロールすることを学ぶことはとても有益です。とはいえ、深い呼吸の訓練は、いきなり登りで実施するのではなくまずは安全な環境の元で行うべきですが」
自分自身に登りが好きなんだということを信じ込ませる
「もし登りを前にしてネガティブな考えに囚われてしまえば、すぐに恐怖と緊張の状態に落ち込んでしまい、あなたの呼吸は乱れ、身体全体もこわばって、登りが一層困難になってしまいしまいます。もし、自分自身に登りが好きなんだということを言い聞かせることができれば、あなたの身体はずっとよく反応するのです。そのためのひとつの方法として、ネガティブな考えを意図してポジティブなものへとその意味づけを変えてしまうというやり方があります。たとえば、『登るのが嫌い』ではなく、『登る度にヒルクライムが得意になっていく』とか『全ての登りは自分を強くしてくれる』といった具合にです」
(出典元:Total Women’s Cycling)
まとめ
ヒルクライム時の呼吸については、私の場合、今まで『ヒルクライムトレーニングの極意』でケイデンスと呼吸を合わせると呼吸が乱れにくくなると書いてあったのを参考にして登っていましたが、今回の記事ではゆっくりと呼吸してみたら良いかもよというお話でした。
本当かな?と思わないでもないし、そもそも急な斜面でゆっくり深い呼吸ができる自信もないですが(笑)、浅くて短い呼吸をするとクライム時のパフォーマンスを下げてしまうというのは納得できるので、近いうちに一度ゆっくりとリラックスした呼吸で峠を登ってみようと思います。
ネガティブな考えに囚われるとパフォーマンスが落ちるので、意味づけを変えてしまえというのも面白かったですね。私の場合、序盤の坂は「坂おいしそう~(^ρ^)」なんですが、終盤の最終局面の坂になると「もうお腹いっぱい、死ぬ~(x_x)」になることが多いので、最後の登りの意味づけを変えてやる必要がありそうです(笑)。
そんなわけで、ヒルクライムと呼吸に関する海外の記事の紹介でした。皆さんも一度ゆっくり深い呼吸を心掛けてヒルクライムにチャレンジしてみてはどうでしょうか。思わぬ発見・成果があるかもしれませんよ。