ウェイトトレーニングでもHIITでもなく有酸素運動で脳を鍛えろ!

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Photo: Run Away by Nathan Rupert
Photo: Run Away by Nathan Rupert

近頃は頻繁に脳と運動の関係についての研究・知見が発表されるようになりましたが、個人的に非常に気になる論文が今月初めくらいに公表されていたので今日はそれをトピックとして取り上げたいと思います。

まずは論文のキーポイントをさらっととチェックしておきましょう。

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キーポイント

  • ランニングなどの有酸素運動がラットの成体海馬のニューロン新生(AHN)を高める
  • 高負荷のインターバルトレーニング(HIT)や無酸素のレジスタンス運動がニューロン新生に与える影響についてはこれまであまり知られていなかった
  • 体を動かさない(sedentary)ライフスタイルと比較すると、雄の成体ラットにおいて、HITをした場合は僅かAHNが起き、またレジスタンス運動(無酸素性)をした場合は全くAHNが起きなかった
  • もっともニューロン新生が起きたのは、有酸素運動にたいして先天的に高感受性を示すように選択的に飼育されたラットであった
  • 我々の研究結果が示すのは継続的な有酸素運動は海馬のニューロン新生を増加させる鍵であるということである
  • (訳:ゑビス)

(引用元:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/JP271552/full)

論文のポイント

「有酸素運動が成体海馬のニューロン新生の増加と関連がある」ということ自体はすでによく知られていることでして、それ自体はとくに真新しい発見ではないのですが、今回のフィンランドのノキア博士らの研究が興味深いのは、有酸素運動のみがそうした効果を生むのか、それともそれ以外の運動も同様の効果を生むのか、その点に疑問を持って実際にラットを使って調べてみたということです。

キーポイントにもすでに書いてありますが、結論はというと、無酸素性のレジスタンス運動をさせたラットにおいてはニューロン新生の増加が一切起きず、そしてHIITをさせたラットにおいては全く体を動かさなかったラットと比べて僅かにニューロン新生の増加が見られた、ということです。

で、有酸素運動をさせたラットにおいてのみ、顕著に成体海馬のニューロン新生の増加が見られたというんですね。さらに面白いのは、実験中により長い距離を走ったラットほどより多くのニューロン新生が起きたということです。

なぜ有酸素運動だけが効果的なのか

なぜ有酸素運動だけが顕著にニューロン新生を引き起こすのか、研究者らにもはっきりとしたことはわかっていないようですが、仮説としてランニングなどの有酸素運動は、ニューロン新生を調整しているB.D.N.F.(脳由来神経栄養因子)の産生を刺激するからではないかと考えているようです。で、たくさん走れば走るほどこのB.D.N.F.もたくさん産生されるので、ニューロンの新生も増加するのではないかということですね。

一方、ウェイトトレーニングなんかのレジスタンス運動は、過去の研究において身体のB.D.N.Fレベルにほとんど影響を与えないことがわかっているとノキア博士は語ります。

(※ただし、論文中で「Contrary to previous findings (Novaes Gomes et al., 2014), resistance training did not promote AHN…[過去のNovaes Gomesらの研究結果とは反対に、レジスタンス運動はAHNを促進しなかった・・・]」”と述べている箇所もあるので、先行研究のなかにはレジスタンス運動によって成体海馬のニューロン新生が起きたとする全く反対の意見もあるということは一応押さえておいたほうがよさそうです)

またストレスは成体海馬のニューロン新生を減少させる傾向があるらしいのですが、HITの場合、その運動強度の高さがストレスにつながり、結果的に海馬のニューロン新生の増加を抑制しているのではないかと博士は言います。

もちろん、このことはウェイトトレーニングやHIITが全く脳の健康維持に全く役立たないということではなくて、それらの場合もおそらく別のタイプの変化を脳に引き起こしているのではないかというのが博士の考えです。

人間にも当てはまる?

さて、もちろんラットはラットであって人間ではないです。

私も皆さんも気になるのは、果たして人間にもこの研究結果が当てはまるのかどうかということですよね。今回この研究を主導したノキア氏は「継続的な有酸素運動は人間の脳の健康のためにももっとも有益であるかもしれない」と語っています。

まあ断定はしていないのですが、何にしてもランニングやサイクリングによって海馬のニューロンが増えてお利口さんになるかもしれないという研究は、日常的に有酸素運動をしている人の場合は知って嫌な気持ちにはなりませんよね(笑)。

LSDのすすめ

ところで、走れば走るほど海馬のニューロン新生が起きるが、ストレスが高すぎるとせっかくの効果を帳消しにしかねないということですから、実践的な意味ではストレスを感じないレベルの気楽な有酸素運動を長時間続けるのが一番脳(海馬)に効くということになるでしょうか。となるとランニングでもサイクリングでもLSDが一番効果がありそうです。

また、キーポイントの「もっともニューロン新生が起きたのは、有酸素運動にたいして先天的に高感受性を示すように選択的に飼育されたラットであった」とも関連しますが、走ることが嫌いな人間を無理矢理走らせても海馬のニューロン新生は起きにくいという可能性も考えられます。つまり、何でもいいから自分が長時間楽しめる有酸素運動を選ぶということも重要なことなのかもしれないですね。

まとめ

私も無酸素ゾーンでぜぇぜぇ喘ぎながら峠アタックばかりしていないで、もう少しランニング、サイクリングの両方にLSD的な要素を取り入れていきたいなと、今回このフィンランドの研究を踏まえて考えた次第です。

「アタシはタバタひと筋よ!」「オレは高負荷の筋トレしか死んでもしない!」というハードコアなトレーナーの方々におかれましても、今後少しくらい有酸素運動を日々のトレーニングに取り入れてみることを考慮されてはいかがでしょう。

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